令和4年秋期試験問題 午前Ⅱ 問7

EVMを使用してマネジメントをしているプロジェクトで,進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。

〔進捗に関する指標値〕
CPI(コスト効率指数):0.9
SPI(スケジュール効率指数):1.1
BAC(完成時総予算)に基づくTCPI(残作業効率指数):1.2

  • コストが予算を超えているが,スケジュールには余裕があり,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないので,CPIに基づいて完成までに必要なコストを予測する。
  • コストが予算を超えているので,完成時総予算を超過するおそれがあるが,スケジュールには余裕があるので,残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
  • コストには余裕があるが,スケジュールが予定より遅れており,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要があるので,ファストトラッキングなどを用いたスケジュール短縮を検討するとともに,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
  • コストには余裕があるので,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないが,スケジュールが予定より遅れているので,クラッシングなどを用いたスケジュール短縮を検討する。
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分野 :マネジメント系
中分類:プロジェクトマネジメント
小分類:プロジェクトのコスト
解説
EVMで使用される各指標の意味は次のとおりです。CPIとSPIはどちらも効率性を表す指標なので、高いほど良好であると覚えておきましょう。
CPI(Cost Performance Index)
実コストに対する予算コストの割合(EV/AC)。1.0は予算どおり、CPI>1.0は予算未満、CPI<1.0はコスト超過を意味する
SPI(Schedule Performance Index)
当初計画に対する進捗実績の比率(EV/PV)。1.0は計画どおり、SPI>1.0は計画より進んでいる、SPI<1.0は計画より遅れていることを意味する
BAC(Budget At Completion)
プロジェクト完成させるための総予算額
TCPI(To Complete Performance Index)
BACやEACなどの目標を達成するために、残りの作業に求められるコスト効率
設問の指標値を見ると、CPIが1.0未満のためコストは『予算超過』の状態にあります。一方、SPIが1.0を上回っているためスケジュールは『計画より進んでいる』と判断できます。予算内でプロジェクトを達成するためには、残作業を当初の1.2倍(TCPI=1.2)のコスト効率で進めなければならないという状況です。
  • TCPI=1.2より、残作業は計画値の1.2倍のコスト効率で進めなければなりません。よって、「コスト効率を計画よりも上げる必要はない」というのは明らかに誤りです。
  • 正しい。適切な評価と対策です。現時点のコストが予算を超えているので、プロジェクトを計画どおりに終了させるためには、コスト超過への対策を講じる必要があります。①コスト増を吸収するためにコスト効率(生産性)を高める対策を講じる、②コンティンジェンシー予備費をコスト超過の部分に充てる、のどちらもコスト超過への対処策として適切です。
  • コストは超過、スケジュールは計画より進んでいます。どちらも逆に説明しているので誤った評価です。
  • コストは超過、スケジュールは計画より進んでいます。どちらも逆に説明しているので誤った評価です。

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