プロジェクトマネージャ令和6年秋期 午前Ⅱ 問22

問22

技術者倫理における集団思考の問題点として,アーヴィング・ジャニスが指摘した八つの兆候のうちの"心の警備"の説明として,適切なものはどれか。
  • 自分の所属している集団は失敗することがなく,又は万が一失敗しても集団は存続すると考える。
  • 集団に新しく加わったメンバーなどが異議を唱える場合には,それを阻止して,集団を保護しようとする。
  • 他のメンバーから特に意見が出されず,発言者以外の全メンバーが沈黙している場合は,その意見を集団組織の一致した意見とみなす。
  • 反対する少数メンバーがいる場合は,そのメンバーに圧力を加えて統一した意見にさせる。

分類

ストラテジ系 » 法務 » その他の法律・ガイドライン

正解

解説

集団思考とは、技術者やプロジェクトチームが意思決定を行う際に、集団の一致や調和を優先するあまり、批判的思考や倫理的な配慮を犠牲にする現象を指します。イェール大学の心理学者であるアーヴィング・ジャニスが提示した「集団思考の8つの兆候」は、集団が意思決定を行う際に生じる特徴的な症状を8つに区分して示したものです。
①幻想の無敵感
集団が極端な楽観主義や過度な自信を持ち、リスクを過小評価する傾向
②集団合理化
過去の失敗や反対意見を軽視し、自らの決定を正当化するための言い訳を積み重ねる
③道徳性の信念
集団の目的や行動が道徳的に正しいと信じ込み、倫理的な問題を深く考えない
④外部集団への否定的な固定観念
集団外の意見や反対者を偏見や固定観念で捉え、彼らの意見を排除する
⑤自己検閲
集団の調和を乱すことを恐れ、メンバーが自分の意見や疑問を表明することを控える
⑥全員一致の幻想
意見の一致が実際よりも広範であると錯覚し、沈黙は疑問や異議がないと解釈する
⑦同調圧力
異議を唱えるメンバーに対して明示的または暗黙的に圧力をかけ、沈黙を強いる
⑧心の警備
集団の決定に反する情報や意見を遮断し、メンバーに届かないようにする行動
"心の警備"は、グループ内の特定のメンバーやリーダーが、外部からの批判的な意見や異なる視点を排除する言動を指します。これにより、集団内では反対意見が取り上げられず、偏った決定が下される可能性が高まります。例えば「リスクが高い」という内容の報告があるにもかかわらず議論を避けたり、技術的な課題を指摘した技術者の意見を無視したり、発言を控えるよう圧力をかける行為がこれに該当します。
  • "幻想の無敵感"の説明です。
  • 正しい。"心の警備"の説明です。
  • "全員一致の幻想"の説明です。
  • "同調圧力"の説明です。
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